お題#仕事の思い出

ここで農業を始めた32年前から今まで私になぜ農業を選んだのかと聞く人はいなかった。夫である相方ばかりに聞くのである。社会人になったばかりのヒヨコの時代関東のコンビナートの色々の会社の電気計装を請負う中間会社の事務の仕事についた。カーボンを多いときで3枚も敷いて書類を作成する時代ですでにコピー機はあったけど信用は無かった。誇り高く仕事する人々その人達が生み出す大きなお金が上から来て沢山の下請け会社や必要に応じて支払っていくお金の流れにヒヨコの私はびっくりするばかり、忙しさと周りに押されて仕事をこなしていった。きっかけが何だったか思い出さないけど私もあちらにいたいと思った。あちらとは直接生産に携わる事。誇り大きい人々のことで事務はサポートだと思い始めたのです自分で選んだ事務だったけど本当は何がしたいんだろうこの事が身体のどこかに居座る。

結婚して生協の知り合いと援農に行った時土のニオイとぬくもり土を押し上げて双葉を出す植物の力強さ、すくすくと育つ農家さんの畑に立って、これが私のしたい事かもと考えた。

農業の研修に参加した。初日仔牛を小屋から連れて来て縛り明日市に出すから洗うようにと。牛に近付けない、絶対だめだと思った。微動だにしないのを見て家の人がじゃがじゃがホースから水を出して牛にかけブラシで洗い出した、少しずつ近づいて触った温かい牛は静かにしている。まだ解け残る雪があった、牛が寒くてブルブル震えだしたのでかわいそうで乾いたタオルで懸命に拭いてやった、すっかり怖さもなくなり牛はかわいいと思った。私のやりたことはこうゆう事だとなんとなく納得し心構えみたいのが芽生えた。思い出である。