今週のお題「わたしの好きな色
今は好きけど前は嫌いだった。高校の頃の話です。夏休みの部活の昼椅子でみんなで輪になって、一人ひとり色だったら何色と言い合った、私の番になって向かいの先輩が種無しぶどう色と言った、瞬間先生が笑い出し椅子から転げても笑いが止まらない、しばらくして飛んで行ったメガネを拾いながら、いやいや失礼、でもあなたは将来長編小説を書くようになるだろうと真面目な顔で言った。それ以来でも種無しぶどうは食べた、そして思った、小粒ではかない紫、味もパンチに乏しいし食べ応えがない。しかしあの時は心の片隅であたってるなと思った。私なりに種無しぶどう色から卒業しょうそしていつか忘れてしまおうと思った。最近になって原色がになくなって種無しぶどう色も似合うし好きになった。長編作家ではなくたくましく農民になって現在に至る。